弁護士も呆れる「横領」の刑事事件実例集

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違法目的と不法領得の意思

【最判平成13年11月5日第二小法廷】

事案の概要

仕手集団に対抗するための工作資金を会社の簿外資金から支出したことについて横領罪の成否が問われた事件。


判旨

「本件交付は、それ自体高額なもの…重大な経済的負担を伴うものであった。…違法行為を目的とするものとされるおそれもあったのであるから、会社のためにこのような金員の交付をする者としては、通常、交付先の素性や背景等を慎重に調査し、各交付に際しても、提案された工作の具体的内容と資金の必要性、成功の見込み等について可能な限り確認し、事後においても、資金の使途やその効果等につき納得し得る報告を求めるはずのものである。…そのような調査等をした形跡はほとんどうかがうことができず、また、それをすることができなかったことについての合理的な理由も見い出すことができない。…被告人の意図は専らKのためにするところにはなかったと判断して…被告人の不法領得の意思を認めた原判決の結論は、正当として是認することができる。…その行為が商法その他の法令に違反するという一事から、直ちに行為者の不法領得の意思を認めることはできない…」

コメント

本件のように、自己(第三者)の利益を図る目的と、会社のためにする目的とが併存する場合は、「主として会社のために行ったのか」で判断せざるを得ません。最高裁は、支出金額、行為の性質、調査義務等を全うしているかなどを考慮して、主として会社のために行ったものではないとして、不法領得の意思を肯定しています。また商法その他の法令に違反する場合であっても、不法領得の意思が否定される余地があることを示した点にも注目する必要があると思います。

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